金融全般

お金の価値は変化する!?インフレ・デフレの仕組みを分かりやすく解説!

2022年1月9日

物の値段の決まり方を平たく言うと物をどの値段で買うのか、どの値段で売り出すのかは人や企業によって異なりますが、多くの人の考えが一致するところで物の価格が決まりまっていきます。

お金の価値変化の2つの要因

お金の価値の変化には2つ要因があります。それは「インフレ」と「デフレ」の現象によるものです。

インフレとは?

インフレとは「インフレーション(英語:inflation)」の略で、物の値段が全体的に上がっていく現象のことです。物の値段が全体的に上がると、同じ値段で買える物が少なくなる為お金の価値が下がります。

インフレの具体例

「物を1つ100円で買える」というのを基準として考えます。

[インフレ]物が1つしかないにもかかわらず欲しい人が多い為、通常よりも値段を上げて売ります。その結果、供給よりも需要が多い場合は売り手が物の値段を上げて1つ300円に価格設定します。

以上具体例より簡潔にすると、物の量(供給)よりも欲しい人(需要)が多いと価格が上がる現象すなわちインフレになります。

インフレは2種類存在する!?

インフレはインフレでも2種類のインフレが存在します。それは良いインフレ悪いインフレです。

良いインフレとは?

良いインフレの流れを以下に示します。

  1. 需要がある物を企業が価格を上げて供給することで企業は儲かり業績が良くなります。
  2. 企業は儲かった利益から社員の給料を増やします。
  3. 消費者は物価上昇したものを購入します。

1〜3ののように好循環することで好景気になります。

良いインフレでも急速に物価上昇(ハイパーインフレ)が起こると物価上昇に給料UPが追いつかず経済破綻になりかねません。

ハイパーインフレについては下記記事をご覧ください。

悪いインフレとは?

悪いインフレ流れを以下に示します。

  1. 企業は物の仕入れ価格が上昇した物を仕入れます。
  2. 企業は仕入れ価格上昇分を上乗せできず供給します。
  3. 企業の業績が悪くなります。
  4. 企業の業績が悪いため社員の給料は上がりませんが、物価上昇するので消費者の生活が苦しくなります。

1〜4のように悪循環することが悪いインフレです。

インフレによる生活への影響

  • 物価の上昇(お金の価値下落)
  • 給料UP
  • 金利上昇

前述した通り、需要がある物を企業が価格を上げて供給することで企業は儲かり、儲かった利益から従業員に給料を増やします。消費者は物価上昇した物を購入します。ここまでが物価の上昇と給料UPの影響内容です。そして金利上昇の理由は中央銀行がインフレになった際に金融政策を行うためです。金融政策については後述します。

インフレ・円安になる要因

インフレ、円安になる要因は様々ありますが、基本的な例を2つ挙げます。

  • 特例国債(赤字国債)

国を運営していくにあたり歳入だけでは足りない時に国債が発行されます。国債は国の借金で利子の支払いが発生します。発行された国債の残高が増えれば増えるだけ財政が圧迫され、国の経済不調につながります。その為、その国の通貨が売れて安くなる可能性があります。

  • 輸入品価格上昇

輸入品の物の仕入れやサービスの価格が値上がりすると輸送コストが高くなることで輸送費が値上がりします。よって輸入品の価格上昇はインフレになる可能性があります。

デフレとは?

デフレとは「デフレーション(英語:deflation)」の略で、物の値段が全体的に下がっていく現象のことです。物の値段が全体的に下がっていくと同じ値段で買える物が多くなるのでお金の価値が上がります。

デフレの具体例

上記例同様で「物を1つ100円」を基準として考えます。

[デフレ]欲しい人が1人しかいませんが、物は2つ有る為、物が余るくらいなら値段を安くして売ります。その結果、供給よりも需要が少ない場合は売り手が物の値段を下げて2つで100円に価格設定します。

以上具体例より簡潔にすると、物の量(供給)よりも欲しい人(需要)が少ないと価格が下がる現象すなわちデフになります。

デフレは1種類

デフレの流れを以下に示します

  1. 物が売れない為、物の価格を下げて売ります。
  2. 利益が減るため企業は業績が悪化します。
  3. 企業はコスト削減をするべく給料を減らしたり、最悪の場合リストラをします。
  4. 消費者は所得が減少するため、物の購入を控えるようになります。

1〜4のように循環することで不景気になります。

一度デフレになると、デフレスパイラルを引き起こしやすくなります。

デフレによる生活への影響

  • 物価の下落(お金の価値上昇)
  • 金利下落
  • 給料が上がりにくい又は減少する

前述した通り、物が売れない為企業業績が悪化し、企業はコスト削減をする為に給料を減少させたり、リストラをしたりします。消費者は所得が減少するため、物の購入を控えるようになります。ここまでが物価の下落と給料が上がりにくい又は減少する影響内容です。そして金利下落の理由は中央銀行がデフレになった際に金融政策を行う為です。金融政策については後述します。

デフレ・円高になる要因

デフレ・円高になる要因は様々ありますが、基本的な例を2つ挙げます。

  • 景気が弱い

景気が弱いことで、需要が低迷し物価が下がります。よってデフレになる可能性があります。

  • 輸入品価格下落

輸入品の物の仕入れやサービスの価格が値下がりすると輸送コストが低くなることで輸送費が値下がりします。よって輸入品価格下落はデフレになる可能性があります。

物価水準の管理機関

中央銀行が金融政策をして物価水準の調整を行います。

中央銀行とは国家や同じ地域の通貨を使用している金融組織の中核となる銀行のことです。

金融政策とは物やサービスなどの価格の安定、経済の安定の為に行う政策のことです。

具体的な金融政策

金融政策

金融政策は中央銀行が物価の安定や経済の安定の為に行う政策です。マネーサプライや金利を調整することにより物価の安定や雇用の拡大などを目的としています。

政策の種類は様々ありますが、具体的には「ゼロ金利政策」、「量的緩和政策」、「公開市場操作(オペレーション)」といったものが挙げられます。このうち「公開市場操作(オペレーション)」では、日銀が一般銀行と国債等の売買を行うことで、マネーサプライや金利の調整が図られます。

インフレ(物価上昇)が起こると、お金の価値が下がり様々な弊害が起こります。その為、インフレになると中央銀行が物価上昇を抑えるべく金融機関に国債等を売却する資金吸収オペレーションなどを通じて市中の過剰な資金を吸収することにより市場金利の上昇を促したりします。(金融引き締め)

デフレ(物価下落)が起こると、経済活動や企業や個人の生活を圧迫します。中央銀行では経済活動の下支えをする為金融機関から国債等を買い入れる資金供給オペレーション等を通じて市中の資金量を増加させ金利を下げる等の政策をします。(金融緩和)

財政政策

財政政策には積極的財政政策と消極的財政政策の2種類存在します。

  • 積極的財政政策

積極的財政政策は公共投資の増加、国民、企業への現金給付や減税等で有効需要を増大させることでGDPの拡大や失業率の低下を図ると同時に民間経済活動の生産性向上を支援するものです。

  • 消極的財政政策

消極的財政政策は所得税や法人税等、失業保険、雇用保険等の制度があげられる。不況時に失業者が増加したり所得を失ったりして生活に困窮する世帯が増加した場合に政府支出が家計所得を補い、消費をした支えするため安定化の機能を持っている。

インフレ・デフレは為替相場にも影響する

物価変動は為替相場に大きく影響を与え、逆に為替相場からも影響を受けます。

物価が上昇すると、その国のお金の価値が下落する為、為替相場は円安に動きます。つまり、インフレが起こると外貨との交換の比率である為替相場は円安に動きやすくなります。(円安・ドル高に動きやすくなります)

逆に物価が下落すると、その国のお金の価値が上がる為、為替相場は円高に動きます。つまり、デフレが起こると外貨との交換の比率で有る為替相場は円高に動きやすくなります。(円高・ドル安に動きやすくなります)

以上皆さんの参考になれば嬉しいです!

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